エバーグリーン&エバークリーン

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われわれ、作詞と作曲の総合サイト WooM-Song.Club が、大切にしている言葉に「エバーグリーン」があります。

もともと言葉は、evergreen tree「エバーグリーン・ツリー」で常緑樹! では、音楽の世界ではどういう意味なのでしょうか?

WooM(ウーム)!!!!!

 

エバーグリーンとは!

音楽の世界で「エバーグリーン」というと、いつまでもズーッと歌われる、時代に左右されない楽曲のことを意味します。

ポップス曲は、人気があるうちはチャートを駆け上り、ヒットの期間が終わると忘れ去られてしまう……みたいなイメージがありますよね。

もともとJポップは、「流行歌(りゅうこうか、はやりうた)」と呼ばれていました。それも、流行に流されていく音楽という少し後ろ向きな意味もありました。

でも、時代や流行に左右されない名曲が、時に生まれることがあります。それを、エバーグリーンと呼んでいるのです。

たとえば、「翼をください」(作詞:山上路夫、作曲・編曲:村井邦彦、歌:赤い鳥)は、エバーグリーンの代表選手といっても良い名曲です。

サウンドが古くさくなるわけでもないし、時代の流れの中で、そのメッセージが常に意味を持っています。まさに、常緑樹(エバーグリーン)な楽曲です。

 

メロディーはエバーグリーン

一般的に、歌詞は時代が変わると意味合いが変わってしまう場合があります。特に、メッセージソングでは、その傾向が強いです。

また、サウンドも、発表から数年から10年もすると、音色やリズムが古くさくてカッコ悪く聞こえることもあります。ファッションのセンスと同じです。

しかし、メロディーは、時代の影響をもっとも受けない、本質的な部分で永遠不滅な存在です。

ベートーベンの運命(1808年初演)も、1967年にエレキの神様「寺内タケシ」によってエレキギターの編曲で生まれ変わりました。

あのジャジャジャジャ~~~ンは同じでも、それを包み込むサウンドは驚くほど変わるのです。つまり、メロディーは不滅で、サウンド(編曲)は時代や楽器によって、つねに変わり続けるのです。

寺内タケシ&ブルージーンズ – 運命

 

エバーグリーンからひらめくイマジネーション

別の例ですが、作曲された時代には無かった楽器が、その曲の可能性を驚くほど切り開いてくれる! そんなこともあるのです。

たとえば、ドビュッシーの楽曲! ドビュッシーはフランスの印象派の作曲家として知られています。彼が十代の頃、フランスの音楽院で作曲を学んでいたのは1870年頃でした。

その100年後にシンセサイザーが発明され、人間のイマジジネーションを遙かに超えた音色を作ることができるようになったのです。

既成楽器の組み合わせで創るクラシックの「音色」の限界を、シンセサイザーで楽勝に超えたのが冨田勲先生です。

ドビュッシーが作曲したメロディーの1音も変えること無く、全ての音符をシンセサイザーの音色に置き換えて、新しいドビュッシーを創り上げました。

それがアルバム「月の光」です(1975年発表)。

その中からドビュッシーの「アラベスク 第1番」をお聴きください。このイマジネーション、神がかった音色の輝き。

冨田 勲 – アラベスク 第1番(ドビュッシー)

 

そして、ピアノで弾いた原曲は……

ドビュッシー – アラベスク第1番

もちろん、どちらも素晴らしいです。この二つに共通しているのは、メロディーですね。音色を変えて演奏するだけでまったくの別世界になります。

100年を経て、新しい楽器が発明され、人間のイマジネーションの限界が無くなったときに、アラベスクが New アラベスクに変身しましたね。

でも、メロディーはエバーグリーンですよね。今日、現代の日本で耳にすることがあるクラシックのメロディーは、すべてエバーグリーンと言ってよいと想います。

冨田勲先生については、下記のコラムで詳しくご紹介しています。

一発で世界を変える飛び道具! キーボード編

 

エバーグリーンの宝庫 フォークソング

フォークソングという言葉には、さまざまな意味があります。「民謡」「労働歌」「フォークギターで歌われる歌」「シングアウトの曲」……などを総称して、フォークソングと呼んでいます。

他のコラムでも紹介している、

  • ボブ・ディランの「風に吹かれて」
  • PPM(ピーター・ポール&マリー)の「パフ」
  • 中島みゆきさんの「時代」
  • 北山修・加藤和彦 さん「あの素晴しい愛をもう一度」
  • 井上陽水さんの「夢の中へ」

……どれも時代を超えて愛され、歌われてきた名曲で、学校の教科書に載っているものもありますね。まさに、エバーグリーンなフォークソングたちです。

フォークの神様「ボブ・ディラン」とカバーでも光るその骨太メロディー

フォークソングは、昔からフォークギターで歌われることが多く、そのリズムやコード進行もシンプルです。だからこそ、メロディーが生きてくるのですね。

この中から、2曲を聴いてみましょう。

加藤和彦と北山修 – あの素晴しい愛をもう一度

作曲は加藤和彦さん(向って左側)、作詞は北山修さん。二人とも、「帰って来たヨッパライ」や「悲しくてやりきれない」をヒットさせたフォーククルセダーズのメンバーですね。このライブの頃、二人は25歳位だと想います。

観客が声を合わせて歌っていますが、その清らかさに胸がグッときます。まさに、エバーグリーンな名曲です。


次は PPM です。

PPM は、ボブ・ディランの「風に吹かれて」をカバーしてヒットさせたことでも有名ですが、この「パフ」彼らが作ったオリジナル曲です。

 PPM(ピーター・ポール&マリー)- パフ

映像を観ると、オーケストラや、何十人のコーラス隊が一緒に演奏してるのが分かりますね。ここでも観客が心を一つにして歌っているのが印象的です。

動画の最初のほうに、イントロを聞いただけで可愛い女の子が満面の笑顔になるシーンがありますが、これも音楽の力とまたまた胸にしみました。

 

エバーグリーン感覚とは

ヒット曲の制作に関わっていると、新しいリズム、刺激的なサウンド、奇をてらった転調などに心を奪われて、これらの曲にあるようなエバーグリーン感覚を忘れてしまいがちです。

曲を作ったり歌詞を書いたりすることの主眼や目的が、コンテストに受かることやコンペで勝ち残ることに置かれると、音楽に対する本質的な感動(エバーグリーン感覚)を忘れてしまうことにつながりかねません。

実際は、発注先からのオーダーもあり、さまざまな制約もあるので、自由な制作など難しいですね。でも、ここから半年流行れば OK ではなく、何十年も人の心に残れ! と強い心で制作できるのが理想です! そんなことを上の加藤さんや PPM は、時代を超えて我々に教えてくれているのです! 

さて、下に紹介しているのは、森山良子さんのアルバム「フォークソングの時代」です。ここに収録されている楽曲は、すべてエバーグリーンといっても良いでしょう。

 

エバーグリーンとスピリット&マインド

もちろん、エバーグリーンの感じ方は、その人が育った時代によっても変わります。これを読んでいただいている10代の若者と40代の大人、そして70代のシルバー世代……それぞれが、心の中にエバーグリーンな名曲をいくつも持っていると想います。

森山さんの選曲も彼女の時代を反映しています。だから、タイトルを見ただけでは、知らない曲も多いかもしれません。

でも、曲を聴けば……どの曲の背後にもエバーグリーンな雰囲気を感じられると想います。エバーグリーンって個々の楽曲という意味合いもありますが、むしろ、精神(スピリット)やマインドのことなのですね。

 

エバーグリーン&エバークリーン

我々、WooM-Song.Club では、新しい情報も歴史上の情報も、古今東西の音楽たちも、すべてエバーグリーンな感性で扱っていきたいと考えています。

新しいから良い?悪い? 古いから良い?悪い? ……ではなく、全ての情報や音楽の中にあるエバーグリーンなものを肯定的に扱っていきたいのです! それが我々のエバーグリーンな感性です!

それから、エバークリーンな気持ちも忘れずに、さまざまな情報や音楽に取り組んでいきたいです。情報に偏見を持たず、音楽に貴賤無しの精神です! それが我々、WooM-Song.Club の想いです。

エバーグリーン&エバークリーン! 韻を踏んでいて、なかなか良いのでは! と自負しています。スタッフ・ミーティングから出てきた貴重なキーワードです。

皆さんにとってのエバーグリーンな名曲はなにでしょうか? ぜひ、コメント欄でお教えくださいね!

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野口 義修

投稿者プロフィール

音楽プロデューサー。
ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。
あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

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野口 義修

音楽プロデューサー。

ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。

あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。

ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

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