問題はイントロのクリシェ!ジミー・ペイジ『天国への階段』は盗作?判決はいかに

このコラムは約4分で読めます

led_zeppelin このコラムでは、世界的な名曲「天国への階段」(レッド・ツェッペリン)が盗作で訴えられた問題を紹介します。どこまでが盗作か? 作詞作曲する人間には大問題!

どこまで似ていると盗作か? 作詞家・作曲家を悩ますパクリ問題。

WooM(ウーム)!!!!!

 

『天国への階段』盗作問題

イギリスのロックバンド、1971に発表されたレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の世界的名曲「天国への階段(Stairway To Heaven)」の盗作疑惑でロサンゼルスの裁判所で審議が行われています。

訴えられた同曲の作曲者は、これまた世界的なギタリストとして著名なジミー・ペイジです。余談ですが、日本では長い間、世界三大ギタリストの一人として、ジミー・ペイジの名前が上げられて来ました。

あと二人は……そう、エリック・クラプトンとジェフ・ベックですね。三人とも、イギリスの「ヤードバーズ」出身のギタリストです。

盗作を訴えたのは、ロサンゼルスのサイケデリックバンド「スピリット(Spirit)」。「天国への階段 は同バンドの「Taurus」の盗作だと主張しています。

「スピリット(Spirit)」 は、日本にはあまり馴染みのない名前ですが、1967年にデビューした大御所のバンドです。

実際に、盗作とされた部分は……イントロです。あのクリシェ(半音進行)の印象的なイントロです。ここで聞いてみましょう。

まずは、訴えられたレッド・ツェッペリンの「天国への階段」です。

レッド・ツェッペリン – Stairway To Heaven

次に、スピリット(Spirit)の「Taurus」です。問題の部分は、44秒から始まります。

スピリット – Taurus

 

イントロのコード進行

いかがですか? 音楽だけ聴けば、つまり、イントロの部分の半音進行は似ていると言われたら似ていますね。しかし、先ほど野口は「クリシェ」という言葉を使いました。

「クリシェ」とは、使い古された陳腐な言い回しといった意味合いの音楽用語で、誰でも使う……使って良い……決めフレーズのようなモノなのです。特に、ポップスやロック、ジャズでは、コードの内声の一部を半音とか全音で変化させていく進行のことを指して言うのです。

誰が使っても良い音がするし、美しいメロディーも考えやすいし、曲想を選ばずどんなサウンドでも使える最高のコード進行です。しかも、誰でも使って良いコード進行だったのです。

・クリシェの例

ex_cliche

ジミー・ペイジも、

「半音ずつ下がって行くコードとアルペジオは、ギターを習っている人なら誰でも学ぶ基本的なスキルだと思います。ギタリストとして、私が半音ずつ下がって行くコードとアルペジオを知ったのは、1968年よりもずっと昔のことなのは間違いありません」

……と語っています。これってギターやっている人なら、みな同じ意見ではないでしょうか? これはクリシェだから、(裁判の結果)盗作にならないでほしい!!……というのが、野口の見解です。皆さんはいかがでしょうか?

参考に、ギタータブで両者を比較してみましょう。
敢えて解説をしますと、両者ともキー(調性)は、Am(イ短調で)同じです。しかし、タブ譜上の「Taurus」風は、単なるなんの変化もないクリシェそのものです。
しかし、タブ譜下の「天国への階段」風では、低音の4(D)弦が7ー6ー5ー4と下がっていくのに対し、トップノートの1(E)弦は、5ー7ー8ー(2)と上がっていくのです。このトップの流れこそ、クリシェを応用しながらもオリジナリティーを加えた「天国への階段」の美しさの秘密です。裁判官や陪審員には、そこまで聞き取って欲しいですね。

taurus_stairwaytoheaven_tab2

また、英語ですが、両者を比較して演奏・説明しているサイトも沢山ありました。一例を紹介します。

1分3秒から両者を弾き分けています。

 

衝撃的事実

スピリットは、1968年12月26日 米デンバーでのコンサートで米国デビューを飾ったレッド・ツェッペリンの前座を務めたそうです。

しかも、当時のスピリットのメンバーは、そのコンサートで「Taurus」を演奏したと証言しています 。さらに、ジミー・ペイジは、自宅にはスピリットのアルバムが3枚あると認めています。
一般的に、メインのアーティストは前座の演奏は見ないことの方が多いですし、アルバムも数千枚の中の3枚です。だから、ジミー・ペイジは最近まで「Taurus」は聞いたことがないと断言しています。

裁判では、ジミー・ペイジは、あのイントロは「数世紀にわたり繰り返し使われてきている構成だと主張 」しています。つまり、クリシェだと強調しているのですね。

しかも、イントロ以外の8分にわたる部分が、裁判でまったく触れられていないのもおかしいと訴えました。

さあ、どうなるでしょうね? これをお読みのギタリストさんは、おそらく8割9割が、あの「天国への階段」のイントロを弾いたことがあるんじゃないかな? って想います。リフで曲作りをする皆さんにも、他人事ではありませんよね。

 

ビートルズ Michelleの場合

ビートルズの「ミッシェル(Michelle)」もクリシェの世界代表的なイントロです。

・Michelle風のクリシェ・イントロ

Michelle_tab

ポール・マッカートニーがアメリカで「ガーシュウィン・アワード」を受賞した際に、オバマ大統領の前で記念ライブを行いました(2010年6月)。

この賞は、アメリカ議会図書館(Library Of Congress)が制定したもので、「長期に渡りポピュラー音楽に貢献してきた作曲家パフォーマー」に贈られます。ポールは、ポール・サイモン、スティービー・ワンダーに続く3人目の受賞者となりました。

そこで、歌ったのが「ミッシェル」です。そう、オバマ大統領の奥様の名前は、「ミッシェル」です。映像を観ると、大統領も奥様も嬉しそうですね! ポールの粋な演出です。

おっと、イントロのクリシェの話でしたね。このように、クリシェは誰がどう使っても良いのです! それだけは間違いのない事実(の筈です)。

 

「Taurus」の作曲者はすでに他界

「Taurus」の作曲者でギタリストのランディ・カリフォルニアは、1997年1月2日に、ハワイ州モロカイ島で、溺れた息子さんの救助中に溺死されています。

つまり、今回の訴訟は、故人の遺産管財人であるマイケル・スキッドモア氏がおこしたものだったのです。

おそらくギタリスト同士なら、この二つのイントロで、争うことはなかったのではないかと信じたいです

 

まとめ

レッド・ツェッペリン、そしてジミー・ペイジは、ロックの世界においてこれ以上ないほどの成功をおさめたレジェンドです。

盗作か否か? 今後、我々、作曲家・作詞家にとっても、この裁判の結果は重要ですね。成り行きを注目しましょう。

 レッド・ツェッペリンしては「シン・ゴジラ」のBGM ゴジラのテーマ曲は三者三様もどうぞ。

※2016年6月24日 レッド・ツェッペリン、「天国への階段」盗作裁判で勝訴!盗作ではないと認められました!!

無罪!!レッド・ツェッペリン『天国への階段』盗作問題。これがOUTなら作曲できない

野口 義修

投稿者プロフィール

音楽プロデューサー。
ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。
あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

メンバーシップ

運営者情報

yoshinobu_noguchi_300_300

野口 義修

音楽プロデューサー。

ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。

あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。

ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

詳細プロフィール

feedly

follow us in feedly
ページ上部へ戻る