ジョン・ポール・ジョージ・リンゴの才能開花!ビートルズ主演映画『ハード・デイズ・ナイト』その1

このコラムは約7分で読めます

ahdn

このコラムでは、ビートルズの映画『ハード・デイズ・ナイト』を紹介します。

監督のリチャード・レスター監督は、この作品と2作目の『HELP』、2作品の評価としてMTV社より、「ミュージックビデオの父」と呼ばれています。

 音楽・ストーリー・映像・笑い……デビュー当時のビートルズの魅力が爆発しています!

WooM(ウーム)!!!!!

 

『ハード・デイズ・ナイト』とは

1964年に公開されたザ・ビートルズの映画初出演作です。1964年といえば、ビートルズがアメリカで、そして日本で爆発的に、記録的に売れた年ですね。

この映画は、そういったビートルズのスゴすぎる人気の中での彼らの日常、実生活をベースに虚々実々で描いています。本当に、カッコ良く、そして笑える、しかも、音楽が飛び切りステキな映画となっています。

映画のプロモ風にいえば、

熱狂的なファンに追いかけられるなか、TV 出演やライブツアーに目まぐるしく動きまわるビートルズの姿をドキュメンタリー・タッチに描いた音楽コメディ。

(NHK・BSサイトより)

当時の邦題は「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」という非常にインパクトのあるモノでした。映画評論家・水野晴郎さんがユナイト映画在籍時に名付けたものです。

しかし一説には、水野さんが、前年1963年にイギリスで製作されたニュース映画「The Beatles come to town(訳:ビートルズが街に来る)」と本作を取り違えて命名したのではないかという意見もあります。

しかし、結果オーライで、「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」といえば、ビートルズというほど、このタイトルは、親しまれ、流行語となりました。

現在の邦題は、『ハード・デイズ・ナイト』です。なんか、「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」の方がインパクトも親しみもありますね。

 

ジョン・ポール・ジョージ・リンゴの才能開花

脚本は、アラン・オーエン。

ビートルズのメンバーからのオーダー……

「エルビス・プレスリーの(わざとらしい恋愛映画)みたいなのはいやだよ」

というビートルズのメンバーたちのリクエストもあって、映画はビートルズの4人の架空の一日をドキュメンタリー・タッチで描くことになりました。

リンゴ・スターは「僕らの身のまわりで起きているすべてが盛り込まれていた」……とこの映画のリアリティーを証明するような発言をしています。

ポール・マッカートニーも、「僕らに関する些細なことをたくさん拾い上げた」と同様のコメントをしています。

ジョン・レノンは、「つまらない映画なら作らない方がいい」とやはり自分たちのリアルな姿を描いて欲しいと感じていたようです。リチャード・レスター監督は、4人の個性をそのまま表現しました。

いかにもイギリス人っぽい皮肉屋で、一見自分勝手な部分もあるが、実は、とても人間味に溢れているし、ユーモアのセンスは極上、そして4人には深い友情がある……そんな可愛らしく、愛すべき、若き日のビートルズの姿がドキュメンタリー風に描かれているのです。

監督は、リチャード・レスター。その後の、映画「Help」も担当した腕利きの監督です。この作品が、レスターの映画監督デビュー作でした。イギリス人らしい皮肉の効いた演出もとても楽しいです。

 

当時のメンバー

映画の撮影は、1964年3月2日に開始、4月24日に撮影を終えました。1ヶ月半くらいで取り終えたのですね!

ahdn_op映画のオープニング・シーン

ちなみに、映画が公開された1964年は、ジョン・レノンやリンゴ・スターが24歳くらいポール・マッカートニーは22歳くらい、一番若いジョージ・ハリスンにいたっては21歳くらい! という若さです。

なんと、ポール・マッカートニーは、すでに前年1963年の暮れに「イエスタデイ」の原型となるメロディーを夢の中で作曲しています。おそらく、映画の収録の時期前後でしょう。

映画の中でやんちゃをしている笑顔の可愛いポールが、すでに「イエスタデイ」を作っている!……そんなことを考えながら、この映画を観るのも、とても意味があると想います。

ジョージ・ハリスンは、やはり、63年の暮れに発売されたアルバムで、人生初の作曲作品「ドント・バザー・ミー」を発表しています。

リンゴ・スターは、この映画を期に、俳優としての可能性を発見し、その後、幾多の映画に関わっていきます。

そして、ジョン・レノンは、映画のほぼ1年前、最初の奥さん(シンシア)との間に長男をもうけています。アーティストとしてデビューもした、ジュリアン・レノンです。

……こう考えると、映画『ハード・デイズ・ナイト』は、ビートルズの若き日の記録であると共に、ビートルズのその後を予見させる、また、メンバーの成長を感じさせる……そんな大切な記録映画だとも考えられますね。

まさに、ジョン・ポール・ジョージ・リンゴの才能開花期! と言えそうです。

こんな映画撮影の間、アメリカではスゴいことになっています。

ビルボード誌で、ビートルズの楽曲が1位から5位を独占、その他、7曲がトップ100にノミネートです。

ビルボード Hot 100 1964年4月4日付

1位 Can’t Buy Me Love
2
位 Twist & Shout
3
位 She Loves You
4
位 I Want To Hold Your Hand
5
位 Please Please Me
…………………………
31
位 I Saw Her Standing There
41
位 From Me To You 
46
位 Do You Want To Know A Secret 
58
位 All My Loving 
65
位 You Can’t Do That 
68
位 Roll Over Beethoven 
79
位 Thank You Girl 

映画の異常な程の人気の描写も、けっして誇張でも大げさでもないと分かります。

ますます、ビートルズ・ファンで、まだ映画未体験の方には『ハード・デイズ・ナイト』を観て欲しいと想う次第です。

 

見所は?

若き日のビートルズの日常を垣間みられる楽しさ! 番組収録やオフ日や移動の合間に魅せる彼らの人間的な魅力! 随所に盛込まれたユーモアや冗談! そして、「ハード・デイズ・ナイト」「アンド・アイ・ラブ・ハー」「イフ・アイ・フェル」……など珠玉の名曲の数々! そう、見所満載です。

オープニング・シーンで、ジョージとリンゴは本当に転んでしまい、それがそのまま OK となり映画で使われています。そういう、生の演出が映画のリアリティーにつながっているのですね。

実は、移動する列車の中でビートルズが女学生に声をかける楽しいシーンがあるのですが、その女学生エキストラの中の一人に、後のジョージ・ハリスンの奥さんとなるパティ・ボイドが出演しているのです。

パティはその後、ジョージと別れ、ジョージの親友のエリック・クラプトンと結婚します。

エキストラから、ジョージ、クラプトンという2大スターと結婚するなんて、なんて数奇な運命なのでしょう。

george_patricia映画の中のジョージとパティ

 

映画のサウンドトラック

『ハード・デイズ・ナイト』のサウンドトラック・アルバムは、全曲オリジナルの中身の濃いものとなっています。

しかも、曲作り・レコーディングに2週間しか時間が取れないという、もの凄いスケジュールのアルバム制作となりました。なのに、非常に中身の濃い仕上がりとなっています。

楽曲は、以下の表の通りですが、アルバム曲なのにシングル的な人気を誇る作品も多く収録されています。

A面
ハード・デイズ・ナイト
恋する二人(アイ・シュッド・ハヴ・ノウン・ベター)
恋におちたら(イフ・アイ・フェル)
すてきなダンス(アイム・ハピー・ジャスト・ダンス・ウィズ・ユー)
アンド・アイ・ラブ・ハー
テル・ミー・ホワイ
キャント・バイ・ミー・ラヴ 

B面
エニー・タイム・アット・オール 
ぼくが泣く(アイル・クライ・インステッド)
今日の誓い(シングズ・ウイ・セッド・トゥデイ)
家に帰れば(ホエン・アイ・ゲット・ホーム)
ユー・キャント・ドゥ・ザット
アイル・ビー・バック

映画の中でメンバーがパブのフロアで踊るシーンがあります。そこで流れる「アイ・ワナ・ビー・ユア・マン」(歌:リンゴ・スター)は「ドント・バザー・ミー」(歌:ジョージ・ハリスン)などは、このアルバムには収録されていません。

 CD でお聴きになりたい方は、こちらをどうぞ。

 

タイトルの由来

タイトル「ハード・デイズ・ナイト」の由来が面白のです。映画の撮影をすべて終え、メンバー全員が疲れ果てている時、リンゴが思わず……

「It’s been a hard day~(今日は忙しかったなあ〜)」と話し始めました。

でも、ふと窓を見ると……あたりは暗くなっていたので……

いそいで「~day ’s night(その日の夜) 」を加えたそうです。

で、結果として「It’s been a hard day’s night」という不思議な言葉になりました。

Day(昼間)なのにNight(夜)というのが、面白いらしいのですが、英語圏の人間じゃない我々には、どうもピンときません。

それを聞いたジョン、ポール、ジョージの3人は大爆笑したそうです。

もともと、リンゴは「リンゴイズム」(リンゴ語)といって不思議な言葉を無意識に話すクセがあったそうです。

ジョン・レノンは、それを聞いた瞬間、「それいただき」とばかり、その言葉をタイトルにして、曲を作りました。

そう、映画の収録中には、まだ主題歌は出来ていなかったし、映画のタイトルも決まっていなかったというわけです。

リンゴの大金星と言わねばならないですね! なにしろ、リンゴは素晴らしい演技を披露しただけでなくと「映画タイトル」「映画主題歌」の二つの名付け親になったのです!

観られない方のために……ブルーレイと DVD が出ています。

 

まとめ

数あるミュージシャン主演映画の中でも最高傑作の呼び声が高い傑作です。ぜひ、ご覧くださいね!

 ハード・デイズ・ナイトに関しては、世界一有名なギターコード! ハード・デイズ・ナイトのジャ~~ン! を分析でも解説しています。ご覧ください。

野口 義修

投稿者プロフィール

音楽プロデューサー。
ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。
あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

メンバーシップ

運営者情報

yoshinobu_noguchi_300_300

野口 義修

音楽プロデューサー。

ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。

あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。

ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

詳細プロフィール

feedly

follow us in feedly
ページ上部へ戻る