跳躍・順次・同音を組み合わせて美しいメロディーを作る

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このコラムでは、美しいメロディーや、覚えやすく印象的なメロディーを作るために「跳躍・順次・同音のメロディー」について解説いたします。

皆さんは、メロディーを作る際、この組み合わせを意識されていますか?

WooM(ウーム)!!!!!

 

メロディーには3種類ある

メロディーって本当に不思議ですね。たった一音違うだけで、ダサく聞こえたりカッコよく聞こえたりするのです。

一度聞いただけで忘れられないメロディーもあれば、何度聞いても覚えられないメロディーもあります。ここでは、その秘密に迫っていきましょう。

メロディーは、その動き方で3つに分類することができます。跳躍・順次・同音の3つです。ここで、その3つについて詳しく解説いたします。

 

跳躍

跳躍のメロディーとは、音程が3度以上離れた音に向って進むメロディーです。

ワイルドで元気の出るメロディーですが、跳躍の幅が広すぎたり、取りづらい音程(増三度、短9度など)だと歌いづらくなったり、歌手を音痴にさせたり、逆効果となってしまいます。

また、コードの構成音を選んで、飛んで行くメロディーを分散和音のメロディーとかアルペジオのメロディーなどと呼びます。

代表曲として、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」を聞いてみましょう。フレーズの最後で大きく跳躍しているのが特徴のメロディーです。

作曲は、僕が敬愛して止まない筒美京平さんです。

大田 裕美 – 木綿のハンカチーフ

歌詞の赤字の部分が跳躍です。( )内は跳躍の度数です。

・木綿のハンカチーフ(作詞:松本隆 作曲:筒美京平)

Aメロディー

恋人よ 僕は旅立→つ(5度上)
東へと 向う列車→で(4度下)

はなやいだ街で 君への贈りも→の(5度上)
探す 探すつもりだ

サビ

いいえ あな→た(6度下)
私は 欲しいものはな→い(6度下)のよ

だ→都(6度上)会の絵の具に
染まらないで帰って
染→ま(5度上)らないで帰って

跳躍の部分で、胸がキュンとなる感じおわかりでしょうか? こうやって調べてみると、Aメロディーは、フレーズの最後の跳躍が特徴ですよね。 

そして、サビの前半はフレーズ最後の跳躍(下行)、サビの後半ではフレーズ頭の跳躍(上行)を2連発しています。

さすが筒美京平先生です。サビで、落して落して……からの、上げて上げてというダイナミックなメロディーとすることで、よりスケール感が演出できました! 結果、歴史に残る楽曲となったのです。

これは間違いなく先生の計算です。

 

順次

順次は、メロディーが2度上下して動きます。

世界で一番有名な順次進行のメロディーは、♪ドレミファソラシドですね。日本だと、♪ドレミ~レド ドレミレドレ~。屋台のラーメン屋のチャルメラですね。

順次進行が、ある音階(スケール)に沿っている場合は、スケール型のメロディーと呼ぶこともあります。

特徴は、

  • 美しいメロディーになりやすい
  • 覚えやすい
  • 歌いやすい

落ち着いたバラードのようなメロディーには最適。速攻で盛り上げるのは不得意だが、じわりじわりと盛り上げるのは得意。注意点は、メロディーがダラダラしないように。などが上げられます。

では、フォークソングの名曲から順次進行が美しいメロディーを見ていきましょう。本田路津子(ほんだ るつこ)さんの「一人の手」です。

この曲は、ボブ・ディランの先輩、ピート・シーガーの曲で、本田路津子さんがそれをカバーしています。

本田 路津子 – 一人の手

・一人の手(訳詞:本田路津子)

一人の小さな手(♪ドレミ~ミミミレミファ~) ★なにも できないけど(♪レミファ~ファファファミファソ~)
それでも みんなの手と手を あわせれば(♪ララシシドドドドレドシラソ)
なにかできる なに(♪ソラソファミレ)かできる(♪ファミレド)

赤の部分、緑の部分は、それぞれ順次進行しています。順次でないのは2カ所、歌詞の★印の部分で3度飛んでいるだけです。

もともと、ピート・シーガーが歌ったこの曲は、シングアウトのためのものでした。シングアウトとは、大勢で声を合わせて歌うという意味です。

だから全員が歌いやすい! 声を合わせて歌いやすい! そのために必然的に順次進行になったのだと想います。

 

同音

最後は、同音です。同じ音を続けます。

歌いやすいの極致ですが、変化が無いので同音だけで一曲完結することは、特殊な目的や企画性がある場合以外、ほぼ無理です。

適度に使うと同音進行は非常に味のある進行となります。

同音という言葉をそのままタイトルにした世界的な名曲があります。そう「ワンノートサンバ」です。

フランク・シナトラ – One Note Samba

なんというオシャレな響きでしょうか。作曲は、ボサノバの生みの親とも言われるアントニオ・カルロス・ジョビンです。ボサノバ最初のヒット曲「イパネマの娘」の作曲者ですね。

ボーカルは、アメリカ音楽界の帝王、フランク・シナトラです。

2/4で数えて、最初の8小節は、メロディーが D音 のワンノートです。

そして、その後、G音 で4小節のワンノート。その後、すぐに D音 に戻って3小節。

下譜は、「ワンノートサンバ」風のコード進行です。ワンノートがそれぞれのコードの構成音やテンション音になっていることが見て取れますね。

ここでは、同音のメロディーでも、コード進行さえ工夫すれば、素晴らしいメロディーに聞こえる! という大きなヒントを貰っておきましょう。

one_note_samba

この曲、Aメロディーは同音進行のワンノートですが、サビはAメロディーの鬱憤を晴らすかのような、動き回る順次進行になっています。この対比が面白いのですね。

そして、歌詞を見ていくと、音楽とリンクした超深面白い歌詞になっています。それに付いてはワンノートサンバの歌詞の秘密でご紹介しています。

 

大切なのは組み合わせ

跳躍・順次・同音……どれか一つだけでは、印象的で美しいメロディーにはなってくれません。組み合わせて、それぞれの良いところをピックアップしながら、作曲したいものです。

その組み合わせが絶妙すぎて、感動を覚えるくらいの名曲があります。

ビートルズの「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」です。

Aメロディー……最初の2小節……同音から順次そして跳躍(ハ長調で♪ミミミミミミレドレレー)! すでにここで3つの連携ができてますね。

サビ(オブラディ~~の部分)……跳躍(アルペジオのメロディー)からの順次です(♪ドミソドミソドミソド~~ソファミファミレド)!

跳躍・順次・同音というキーワードでビートルズを聴いてみるのも参考になりますよ! ビートルズはメロディーの宝庫です。

ザ・ビートルズ – Ob-La-Di, Ob-La-Da

ビートルズの中でも最もメロディーのバリエーションがある2枚組、通称、ビートルズ・ホワイトアルバムです。

アコギの傑作「Black bird」やジョージ・ハリスンの傑作「While my guitar gently weeps」などメロディーの研究にも最適です。もちろん、「Ob-La-Di, Ob-La-Da」も入ってます。


皆さんの中で、跳躍・順次・同音の組み合わせベストソングは何でしょうか? コメントお待ちしてます!

 

まとめ

跳躍・順次・同音の組み合わせで、自分がこれまでに作ったメロディーを見かえすと、案外、気付かなかった癖や個性を発見できるかもしれません。

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野口 義修

投稿者プロフィール

音楽プロデューサー。
ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。
あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

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コメント

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  • コメント (2)

    • 北山 美喜
    • 2016年 7月 27日

    いつも楽しみに読ませて、聴かせていただいています。今日は特別興味深かったです。跳躍・順次・同音・・・なんとなく体で感じていますが、このように言葉にしていただき様々な曲を聴いて、なんだかすっきりして、もっと曲を書いたり聞いたりしたくなりました。スティービーワンダーの”You are the Sunshain of my life”の跳躍がワクワクだったのかなあと思いました。
    これからも楽しみにしています。いつもありがとうございます。

    • 野口 義修
      • 野口 義修
      • 2016年 7月 27日

      北山さん、コメントをありがとうございます。 そうそう”You are the Sunshain of my life”のサビなんか、跳躍が素晴らしいスパイスになっていますよね。ワクワクのスパイスです。Paul McCartneyのブラックバードの最初のメロディーも♪GGGGGGGDD~~ソからレへ5度のジャンプ。ブラックバードが飛び上がる様子、あるいは飛び上がれ! と応援する気持ちが表れていますね。 美喜さん いつも、読んでいただいてありがとうございます。

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野口 義修

音楽プロデューサー。

ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。

あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。

ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

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