ベースリフ作曲テクニック!メーガン・トレイナーの「Me Too」

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「All ABOUT THAT BASS」でグラミー新人賞に輝いた「メーガン・トレイナー」

彼女のベース・リフ作曲テクニックを、アルバム「サンキュー」に収録されている「Me Too」を例にご紹介します。

彼女の作曲テクニック、シンガーソングライターとしての実力は天才級。

WooM(ウーム)!!!!!

 

メーガン・トレイナーって?

メーガン・トレイナー(Meghan Elizabeth Trainor, 1993年12月22日 – )は、2016年現在で22歳、アメリカ生まれのシンガーソングライター&音楽プロデューサーです。

デビューシングルの「All About That Bass」が世界中で1位を記録するなど爆発的に売れました。

おデブキャラといった感じの楽曲だっただけに、日本なら「企画もの」「一発屋」的な流れになってしまったかもしれませんが、その後もヒットを飛ばし、彼女の底知れない音楽センスはますます輝きを増しています。

その証拠が、2016年『第58回グラミー賞』での「最優秀新人賞」受賞です。

メーガンは11歳で作詞を始め、12歳からはファミリーバンドでピアノやギター、ボンゴドラムなどを担当しました。
13歳の時に両親から買ってもらったコンピューターを使って作曲を始めましたが、使用機材は、マックと「Logic Studio」だそうです。

その後、いろいろな音楽コンクールなどで優勝し、ナッシュビルの音楽出版社ビッグ・イエロー・ドッグ・ミュージックに見出され、18歳にして作家契約を結んでいます。そう、最初は、作家だったのですね。作家として、自分で歌ったデモテープを気に入ったあるプロデューサーが彼女をシンガーソングライターとしてデビューさせました。まさにアメリカン・ドリームですね。

 

ベースリフの作曲テクニックとは

早速、今回のテーマ、メーガン・トレイナーの最新曲「Me Too」を聴いてみましょう。

メーガン・トレイナー – Me Too

超カッコ良いサウンドですね。2016年5月発売のヒット曲です。

歌詞の内容は、とにかく自画自賛。

「そこにいるセクシーな人って誰? 鏡に映った私よ」

「もし私があなただったら、きっと私になりたいって思うわ」

「私の人生はまるで映画の中のトム・クルーズ」

……自信満々。

もちろん、同世代の女性に、これくらい自信を持って良いのよって、エールを送っているように聞こえます。

どイントロは、まるでブルースリーの映画が始まるようなオケヒット! 歌詞の中のゴージャスな主人公を象徴する一発ですね! リスナーの耳を惹く一発です。

オーケストラがフォルティシモでジャン! と鳴る前に、シンバル・ロールのクレシェンドが入りリスナーの耳やオーディオ機材を守っています。いきなりガーンとオーケストラが大音量で鳴り響いて、スピーカーや耳を飛ばしたら大変ですよね。だから、シンバルのロールで瞬間の予告編を出すのです。これって、イントロを作る際の常識というか、定番ですね。

そして、今回のテーマ、ベースラインのリフです! シンベ(シンセサイザー・ベース)のラインが超印象的です。1小節のフレーズが4小節単位のまとまりになっていますね。そう、リフとは、繰り返される2小節とか4小節の印象的なフレーズという意味です。リズム(ドラム)は、4つ打のキックとフィンガー・スナップ(パチン、パチン)のアクセントが気持ちよいです。

4小節目のベースにはポルタメント(音と音の間を滑らかにつなぐ奏法)がかかってウネウネとした変化が加わり、可愛いシンセ・タムのようなフィルも加わります。……素晴らしくキャッチーです!!

この曲はこの4小節のベースリフの素晴らしさがすべてと言えます。それ程、全体で重要な役割を担っているのです。

この部分(Aメロディー)のコードは、ワンコードで Em 一発です。……というか、リズム以外、ベースラインとメロディーしか鳴っていませんから、それらから Em と判断するのです。

キーは、Em(ホ短調)です。

ちなみにメロディーは、日本人の大好きなペンタトニックですね。Em のペンタは、楽譜の通り、E,G,A,B,D の5音です。

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Em のペンタトニック・スケール!

 

サビ転調で決まり

動画36秒から始まるサビで、世界がパッと広がりますね。

実は、ここ Eメジャーに転調しているんです。いわゆる「同主転調」ですね。

Eマイナー(ホ短調)から Eメジャーへ(ホ長調)!

サビ・メロディーが「G#」の音から始まりますね。この音は、Em と Eメジャーを区別する最重要音ですから、メロディーで G# の音が鳴ったとたんに、世界がガーッと開けるというわけです。

サビ最後(48秒)で、メーガンは「Gのナチュラル」を歌います。この音は、Em の構成音とも考えられますが、Eメジャーのブルーノートとも考えられます。……というかブルーノートです!

ブルーズやジャズ、ロックで大活躍のブルーノートをサビの最後に使い……自然に Eマイナーに戻るのです。スゴい!!! 頭良いってか、センス最高です。要約すると、サビでマイナーからメジャー転調してグッと盛り上げ、サビの最後でロックぽいブルーノートを使い、自然に元のマイナーに転調する……といったところですね。

メジャースケール(長音階)の3度5度7度をフラットさせた音をブルーノートと呼んでいるのですが、詳しくは、いずれ別のコラムで紹介します。

 

2コーラス目から EDM 風味

2コーラス目に入る前に、ボーカルがラップ気味のブリッジが入ります(動画50秒くらい)。50年代風オールディーズ・ポップな世界感でデビューしたメーガンですが、ここへ来て2016年サウンドにも開眼しました。

1分7秒から2小節、メーガンよお前もか、流行のEDM!? ベースラインと同じフレーズで、EDM でお馴染みの音色のシンセが登場します。この音色とフレーズを聴くと瞬間、EDMを想い出しますね。

2コーラス(1分10秒)から、ボーカル・メロディーが微妙にベースラインをなぞっていますね。そして、コーラスやボーカルのフェイク(アドリブ)でサウンドを盛り上げます。歌唱力が光る部分です。
しかし、このパートでも、コード系のシンセやキーボードは皆無です。インタールード(間奏)は、EDM シンセが再登場。とにかく、カッコイイのひと言に尽きます。

 

この一音!

36秒と2分13秒にギターの一発が入っていますね。どこかで聴いた音です。

そう、2015年アメリカで最も売れたマーク・ロンソンとブルーノマーズの「アップタウン・ファンク」のギターの音色です。

マーク・ロンソン – Uptown Funk ft. Bruno Mars

ファンキーなギターの印象的な音色! 33秒、38秒から、♪カカカカ……となるギターのミュート音ですね。その最初の♪カ! おお、マニアック。

それをメーガンは意識したかどうかは定かではありませんが、自作「Me Too」に盛込みました。たった一発でも世界を作ることのできる音色ですね。いろいろ調べると、彼女はツイッターで、「アップタウン・ファンク」が好きでヘビロテで聴いているとつぶやいているそうです。このミュート・ギターの一発は、マーク・ロンソンとブルーノマーズに対するリスペクトの証でしょうね。

 

ボーカルが良いから

ボーカルが良いから、素晴らしいから……この「Me Too」という楽曲は、ベースのリフとメロディーだけで成り立ってしまうのですね。しかも、全体で2コード! しか使っていません。 

やはり、メーガン・トレイナー! 作家としてもシンガーとしてもただ者ではないようです。尊敬します!

 

まとめ

彼女の作曲テクニック、シンガーソングライターとしての実力は天才級。メーガンのアルバムを改めてジックリ聴いてみたいと想います。いずれ、他の曲も分析してみましょう。

ブルーノ・マーズに関してはグラミー賞最優秀楽曲に学ぶ作詞作曲もどうぞ。
メーガン・トレイナーに関しては、ウーム・ソング・ドット・クラブおすすめのエスニック&ワールドミュージック9選 もどうぞ。ラテンの彼女も素晴らしい!

野口 義修

投稿者プロフィール

音楽プロデューサー。
ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。
あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

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野口 義修

音楽プロデューサー。

ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。

あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。

ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

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