一発で世界を変える飛び道具! プロデュース編

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このコラムでは、古今東西のヒット曲から「一発で世界を変える飛び道具」を使った作曲テクニックやアイデアを紹介します。

コラムのポイントは2つ。

  • 一発飛び道具とは?
  • プロデュース系飛び道具

作詞家、作曲家、シンガーソングライターを志す皆さん! プロデューサーを志す皆さん! そして、音楽を愛する皆さん!

どうぞ、さまざまな一発で世界を変える飛び道具の世界をお楽しみ下さい。

WooM(ウーム)!!!!!

 

 

一発の飛び道具とは?

我々、WooM-Song.Clubは、楽曲のフック(美味しい引っかかりのポイント)となりうる仕掛けを、一発飛び道具と名付けてみました!

ギター・ベース編キーボード編に続き、今回はプロデュース編です。

紹介した飛び道具から、なにか「気付き」があれば、ぜひ、ご自分の楽曲にも積極的に応用くださいね!

 

プロデュース系飛び道具

プロデュース系…ここでは、サウンド・プロデューサーやレコーディング・エンジニア、DJなどを指すことにします。

作詞作曲 ~ 編曲 ~ 演奏(生楽器or打ち込み)~レコーディング……という音楽制作の流れを引っ張っていくのは、プロデューサーとエンジニアのコンビと言えます。

プロデューサーが、サウンドをまとめ上げていくのは当然ですが、鋭いプロデューサーたちは、エンジニアリングの知識や音響に対しても深い知識や感性を有しています。

同様に、エンジニアは、機材を扱う技術者であると同時に、感性豊かな音楽家の側面も持っています。実際、経験豊かなエンジニアさんたちは、ミュージシャン以上に音楽の現場に立ち会い、どうすれば音がよくなり、ヒットにつながるか日々考え続けています。

著者の知り合いや、ご一緒したエンジニアさんたちは、みな素晴らしい音楽的なアイデアの持ち主ばかりでした。随分とそのアイデアや経験値に助けられたものです!

ここでは、エンジニアさんやプロデューサーさんだけでなく、その両方のスキルや才能を持った DJ の飛び道具なテクニックも紹介いたします。

 

ウォール・オブ・サウンド

世界で最も有名なプロデューサーの一人、アメリカの「フィル・スペクター」は、1960年代に「ウォール・オブ・サウンド(音の壁)」という録音方式というか、プロデュース・システムを考案してヒットを連発し、一世を風靡しました。

ビーチボーイズの天才、ブライアン・ウィルソン(ベース、作編曲担当)も、フィルの大ファンだったそうです。日本でも、故 大滝詠一さん、山下達郎さんがフィルに対し惜しみないリスペクトを表明しています。

フィルは、その名(音の壁)の通り、音で巨大な壁を作るようなレコーディング方式をとっていました。録音当日に、スケジュールが空いているミュージシャンを、全員押さえて、ギター数人、キーボード数人とか……多人数で同じフレーズを録音するのです。

そうすることで、音の微妙なズレや奥行きがサウンドの気持ちよさにつながります。

しかも、タップリのエコー(リバーブ=残響音)を加えて、全体をシャビシャビにするのです。これぞウォール・オブ・サウンド(音の壁)です。

まずは、彼の代表作の一つ、ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」を聴いてみましょう。

ザ・ロネッツ – Be My Baby

サウンド全体を象徴するエコーの響き、分厚いサウンド、そして何よりも印象的なドラムとパーカッション・サウンド(ドッドッドタン~ドッドッドタタタ!)

このドラムサウンドこそ、飛び道具の名に相応しいサウンドと言えます。しかも、超売れ線のメロディーです。

このリズムは、その後、模倣(リスペクト)する人が絶えませんでした。ビリー・ジョエルのヒット曲「セイ・グッドバイ・トゥー・ハリウッド」もこのパターンでしたね。

ビリー・ジョエル – Say Goodbye To Hollywood

フィルは、ビートルズのアルバム「レット・イット・ビー」のプロデュースを担当したことでも有名です。しかしそれが、ビートルズの不和、解散の一因になってしまいました。

あまりに才人で超変人。後年はドラッグにはまり、拳銃をぶっ放し捕まってしまうなど、「才能がありすぎてもなぁ~ (-_-;)」という状況になってしまっています。

でも、作り上げてきた音楽は素晴らしいものばかりです。

 

スクラッチ・サウンド

1984年のグラミー賞で、ジャズ・ピアニスト「ハービー・ハンコック」がライブで受賞曲「ロック・イット(Rock It)」を披露しました。

ハービー・ハンコック –  Rock it(1984年グラミー賞 Live)

レコードをこする、いわゆる「スクラッチ」のライブ映像が、(ほぼ)史上初で世界中に流れたのです。今や、DJ たちには当たり前のテクニックとなったスクラッチですが、当時は超新鮮なサウンドでした。

まさに、一発飛び道具!

今聴くと、普通すぎるサウンドですが、当時は驚きをもって迎え入れられました。

注目すべきところは、

革命的に素晴らしいものが登場しても、数年もしないうちに、一般的、常識的なものになっている

というところです。

どんなに素晴らしいものでも、登場時には叩かれ否定されたりするものです。パイオニアたちの宿命でもありますね。

余談ですが、上記グラミー賞をよく見ると、司会があの「カントリーロード」をヒットさせた「ジョン・デンバー」なのも味がありますね。

スクラッチは、グラミー賞の約2年ほど前に、偶然、DJ の「グランド・ウィザード・セオドア」によって発見されたテクニックでした。

2001年に公開された映画「スクラッチ」(スクラッチの歴史を扱ったドキュメンタリー)で、セオドアが スクラッチを偶然思いついた ときのエピソードを語っています。

Scratch Introduction (Japanese sub)

スクラッチがグラミーに初登場した1982年。奇しくも CD の生産が始まった年です。

アナログからデジタル! 消えゆくアナログのアルバムが、スクラッチとして時代の最先端のツールになっていく! この符合には、歴史の不思議を感じざるを得ません。

偶然が、世の中を変えていくことって、素敵だと想います。

その偶然を、よしとする人々の感性があったから、偶然と感性が出会ったから……世の中が変わったのですからね!!

 

EDM(Electronic Dance Music)

最後は、特定の楽曲ではなくて EDM と呼ばれるジャンルの楽曲すべてです。どのEDM楽曲も飛び道具満載です。

2016年現在、J ポップはもちろん、アメリカのヒットを見ても、ヨーロッパを見ても、K ポップを見ても、EDM の要素を感じさせるサウンドが溢れかえっています。むしろ日本は、随分、遅れている感じがします。

EDMは、クラブや野外イベントで「踊る」ために作られた音楽なので、とにかく人々の気持ちをハイにさせるような仕掛けやリズム、サウンドが満載なのです。

インスト(器楽曲)ものばかりでなく、歌ものの楽曲が多いのも特徴です。私、野口がここ二、三年ずっと注目しているのが、EDM の貴公子 ZEDD(ゼッド)です。

zedd

とにかくメロディアスで踊れて、飛び道具な仕掛けが満載の楽曲作りは天才的です。どの楽曲も魅力に溢れています。

ゼッド – I Want You To Know ft. Selena Gomez

ゼッドの代表曲の一つですが、どこを切り取っても飛び道具!

聴かせるメロディーと踊れるサウンドが素敵です。ボーカルが、当時、ゼッドと噂のあったセレナ・ゴメスなのも要チェック(笑)

インストもので、サウンドの面白さやユニークさが光っている楽曲を紹介しましょう。ニッキー・ロメロの「トゥールーズ」

クラシカルな部分もあれば、おどけたような音色もあれば、もちろんダンサブルなサウンドもありです。そういえば、ニッキー・ロメロは、セカオワの「Dragon Night」でプロデュースに参加していますね。

ニッキー・ロメロ – Toulouse

楽しい! 踊りたくなりますね!

この手のサウンド作りに関心があれば、次の動画は非常に参考になります。

ニッキー・ロメロ –Toulouse 作曲過程の解説

この動画では、ニッキー・ロメロ自身が、「トゥールーズ」の作曲過程を約50分にわたって解説しています。

全編英語ですが、音を聴きながら画面を見ていれば、何となく分かるでしょう。楽譜の要素はゼロです。すべて、PC の画面上で耳を頼りに作り上げています。

まさに、EDM は飛び道具満載!

それを感じていただけるのではないでしょうか?

 

まとめ

「人を驚かせたい! 人を楽しませたい!……そこから新しいサウンドが生まれます」

……いろいろチャレンジしましょう。

ウームソング・ドット・クラブ部長の野口から作詞や作曲を学びたい、一緒に楽曲制作をしたいという方は、こちらから気軽にご相談ください!

 

野口 義修

投稿者プロフィール

音楽プロデューサー。
ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。
あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

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野口 義修

音楽プロデューサー。

ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。

あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。

ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

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