「見ればわかる、発想力が磨ける」朝日中高生新聞のロゴとコピー

このコラムは約6分で読めます

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このコラムでは、「発想力を磨け」と題して、物の見方のヒントをご紹介します。

今回は、「朝日中高生新聞のロゴとコピー」をテーマにお話いたします。

作詞も作曲も発想が命です。何気ないロゴとコピーでも徹底的に見ることで、作詞にも作曲にも使える発想力を磨くことができます。

 

 

発想力の根幹は一つ

作詞家と作曲家、音楽家と画家、小説家と科学者、男と女、大人と子ども。

それぞれ全く違う思考回路を持っていそうです。しかし、これらすべて「人間である」という共通点を持っています。

作詞家と作曲家でも、使う方法論や素材が多少違うだけで、根底の脳内回路は変わらないはずです。特に、とても重要な「発想力」に関して言えば、何をするかに関わらず基本は一つ、みな共通です。

そこで今回は、たまたま我が家のカレンダーで見付けた、朝日中高生新聞のロゴとコピーを素材に、「細部を徹底的に見る」というテーマを中心にコラムを書くことにしました。

作詞家にも作曲家にも、もちろんコピーライター、デザイナーさんにも、きっとお役に立てると想います。

 

朝日中高生新聞のロゴとコピーをじっくり見る

早速ですが、朝日中高生新聞のロゴとコピーをご覧ください。

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ちなみに「朝日中高生新聞」とは、朝日学生新聞社が中高生のために毎日曜日に発行している週刊新聞です。

このロゴとコピーから10個の「気付き」を発見してください。形でもいいし、色でもいいし、文字・文章でもOK。何かに気付くことが大切です。

そして、気付いたらその意味を考えるのです。考えた結果、気付いたものの本当の意味が見えてくる場合もあります。なので、最初の気付きにはフィルターをかけないでください。

発想・アイデアとは、基本、自分でも気付いていない「内なる想い」が何かのきっかけで、脳の表層に飛び出してくるものだと想います。

何かのきっかけとなり得る、最初の気付きは、ダメもとのちっぽけな物でもいいのです。

 

物の見方、発想力のトレーニング

10個の「気付き」がまだ、という方は、ここで物の見方、発想力のトレーニングをしておきましょう。

もちろん、自信のある方、すでに10個の「気付き」があるという方は、この後ろにある解説編に進んでくださいね。

 

1……形を大きく捉える
輪郭やざっくりとした意味合いなど、なるべく細部にこだわらない見方をする。発想においては、ファースト・インプレッション(第一印象)が大切なことが多々あります。

 

2……形の特徴を出来るだけ細かく上げてみる
直線で出来ている、左右対称である、モノクロであるなど、気付いた特徴を言葉にしてみる。

 

3……言葉が使われていれば、表と裏の意味を考える
言葉は辞書的な意味もあれば、比喩やシャレのように裏の意味が隠されている場合が多々あります。それを探るのです。

 

4……言葉は見るだけでなく、発音もしてみる
言葉の響きに意味がある場合もあります。意味以外の要素を探すのです。

 

5……なぜこの形や文字が生まれたかを考える
いわば、根源・根本ですね。その物が生まれた意味や目的を考えながら、作った人の考えに迫りましょう。

 

作詞や作曲でも、ヒット曲を分析する場合や、「どの音を使うか? どんな表現にしようか?」といった創作上の思索で、上記の考え方を応用してみるのもよいと想います。

キーワードは、細部を見る! です。

 

解説編:ロゴとコピーから見えてくるもの

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10個の考えがまとまりましたでしょうか? 細部までご覧になりましたか? 

ランダムにヒントを解説していきます。

 

1……「朝日中高生新聞」のロゴとキャッチコピーである
って、基本過ぎますよね。でも、分析は基本から始まるのです。

 

2……黒と赤と水色が使われている
黒と赤は力強い色です。水色は爽やかで、優しい色です。

このロゴでは、大事な名称は、黒でクッキリと表現しています。

もっと大事なコンセプトは赤でビシッと決めていますね。

解説文である、コピーはすこし控えめに水色です(色のことは、後半でも触れます)。

 

3……基本、シンメトリー(左右対称)なデザインである
中央に位置する「高」がシンメトリーな文字ですよね。

さらに「朝日中高生新聞」が7文字で「高」を中心に左右3文字ずつとなっています。

そこから、この全体をシンメトリーにするというアイデアが生まれたと想います。

 

4……直線で構成された文字ですが、中に4つの「●」がある
見栄えを考えた、つまりデザイン的な「●」でしょうか?

「●」の部分だけを見ると、左から右へ、ポンポン……と弾んでいるように感じられます。

ひょっとすると、ロゴに軽やかなリズム感を付けているのかもしれません。

 

5……重要な赤の部分をもう一度見てみると、記号(!、→)になっている
ビックリマークは何を意味するのか? 矢印は何だろう?

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6……コピーには、新聞の基本や編集方針が書かれている
「今がわかる、未来が開ける」というコピーですが、水色の効果で実に爽やかイメージで伝わってきますね。今と未来の対比でできているコピーです。

中高生に対して、「この新聞を読めば、今(世の中)が分かるんだよ。そして、未来(将来、進路など)の可能性も開けるんだよ」という新聞社からのメッセージを伝えていますね。

 

7……記号の意味は、コピー文にあるのではないか?
ずいぶん分かって来ました。まず、赤色が使ってあるのは、「」(中学生)と「」(高校生)という新聞のメインターゲット(読者)です。もっとも重要なお客さんですよね。

一番大事なところに赤が使ってありました。

そして、「中」の中棒がビックリマーク()となっているのです。理解した、感動したという意味の「!」です。

そう、中学生に向って「今がわかる!」と伝えているのです。

そして、「高」には「」ですね。左から右への矢印は、未来へ進むという意味があります。

そう、高校生には、「」で「未来が開けるよ」と伝えているのです。

 

8……!に●が使ってある
ビックリマークは、棒と●で出来ていますね。

「中」の文字にビックリマークの●を使ったので、デザインとしての全体バランスのために、「朝」「中」「高」「新」にも●を使ったのでしょう。●が一つだけでは、バランスが悪いと考えたのだと思います。

で、結果、弾んで未来に進むボールのような働きを演出できたのではないでしょうか?

 

9……コピーの真ん中の「、」の意味
この読点(、)が、シンメトリーの中心点になっていますね。意味合いはどうでしょうか?

読点には、少し時間を空けるという意味があります。一息つくイメージですね。

時間経過という意味もあるので、「今がわかります……新聞を読み続ければ……未来が開ける」というメッセージともとれます。

読点一つでも、意味合いが全く変わってしまいますね。

「、」一つで、長期購読の薦めをメッセージしているとは、なんと深いコピーでしょうか?

 

10……最後は、あなたのアイデアをお聞かせください。

 

プロは細部を見る

プロの仕事は、かように奥深く、意味深く、欲深いものです(笑)。ここまで見る人、細部まで見て、深読みする人は皆無かもしれません。

でも、我々人間には、恐ろしく鋭いセンサーが付いているので、たった一秒見ただけで、プロの意図するところは、無意識のうちに伝わっているものです。また、プロたちは、そこまで計算して作っているのです。

作詞でも作曲でも、プロの作品を分析すればするほど、深い計算や内面の想いに感動して、うち震えることがあります。

何気なく聴いて感動できる作品には、奥の底のその奥に、作家たちが考え抜いた魂が宿っています。

「朝日中高生新聞」のロゴ、コピーを、どなたが作っているかは知りませんが、素晴らしい感性と知性と発想力の持ち主であることは間違いありません。

もし、このコラムを読んでいる方が、何かの創作に関わっていらっしゃるなら、自分の創作にこういった発想のアプローチを加えてみるのもいいと想います。

何気なく見て、聴いて、いいなと想ったら、

  • 細部を見てみる
  • 深読みしてみる

たったこれだけです。

 

まとめ

発想力は、みなさんの創作を支える基本の力です。どんなアートでも発想力の根幹は一つ!

全体をじっくり見て、「細部にわたって」考えることです。どんどんアイデア(作品)を生み出しましょう。

野口 義修

投稿者プロフィール

音楽プロデューサー。
ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。
あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

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野口 義修

音楽プロデューサー。

ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。

あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。

ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

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