ワンノートサンバの歌詞の秘密

このコラムは約4分で読めます

one_note_samba_kashi.jpg

このコラムでは、ボサノバの名曲「ワンノートサンバ」の歌詞の秘密を解説します。歌詞とメロディーのコラボレーション(連動)の面白さに気がつくと、皆さんの作品もググッとレベルアップしますよ。

皆さんは、歌詞とメロディーのコラボレーションを意識されてますか?

WooM(ウーム)!!!!!

 

歌詞とメロディーのコラボレーション

曲を作る際は、メロ先の場合なら、作詞家はメロディーの流れからヒントを貰い、それに合わせて歌詞を書きますね。

逆に、詞先の場合は、作詞家が書いた行数や音数、コンセプトなどに従って、作曲家がメロディーを組み立てます。

つまり、メロディーと歌詞は、創作段階において、常に「時間差のコラボレーション」をしているのです。

コラボレーションの例としては、「この部分、メロディーが暗いから、悲しみを強調できる単語を使おう」とか、逆に「ここにカラスという単語があるから、この部分に、七つの子のメロディーを借用しちゃおう」とかが、考えられますね。

そんな詞曲のコラボレーションが最高に活きている曲が、ボサノバの名曲「ワンノートサンバ」なのです。

※「七つの子」は、みんな知っている「♪かーらぁすー なぜ鳴くのー」の曲のタイトルです。著作権消滅の PD曲なので、自分の作品に引用可能です。

 

ワンノートサンバとは

ブラジルの国民的作曲家、アントニオ・カルロス・ジョビンの作った傑作ボサノバ、それが「ワンノートサンバ」です。ワンノートとは、1つの音符とか1つの音程という意味です。元々、歌詞はポルトガル語でジョビンの旧友ニュートン・メンドンサによって書かれたましたが、後に、ジョビンによって英語に訳されました。

タイトル通り、Aメロディーの8小節間、たった一つの音だけで歌詞が歌われます。次の4小節間は違う音程になりますが一つの音だけで歌詞が歌われるのです。

ワンノートサンバ風の流れを示すコード譜を載せます。上段はズッと同じ音 ♪レ ですよね。もちろん、実際はこれにリズムが加わって歌詞が乗るのですが…。

下段の4小節は音が ♪ソ に上がっていますが、ずっと同じ音! そしてまた、上段と同じ ♪レ に戻ります。

one_note_samba

では、一度、聴いてみましょう。

フランク・シナトラ – One Note Samba

実に、オシャレなサウンドとメロディーですね。 ボーカルは、アメリカ音楽界の帝王、フランク・シナトラです。

Aメロディーは、同じ音の連続でした。まさにワンノート。しかし、サビで、一転、音がいっぱい出てきましたね。まるで、早口言葉のように。そして、音階もいっぱい使って、まるでお喋りをしているようなメロディーでした。

その後、また、Aメロディーに戻ります。ワンノートに戻るのです。

1音から、沢山の音、そして元の1音へ! 勘の良い方は、ハッとお気づきでしょうね。

 

ワンノートサンバの歌詞の意味

ワンノートサンバの歌詞の意味をブロックごとに見ていきましょう。

Aメロディーの歌詞

最初の1音のメロディーです。

「この歌はたった1音で出来た可愛い歌。違う音が出てくるかもしれないけれど、基本は最初の1音さ」

ここで音が上に上がります。動画15秒のところ。

「この新しい音は、さっきの音があったから生まれた音」

最初の1音に戻ります。動画23秒のところ。

「君がいるから僕がいるのと同じだね」

音符が「人」を表していると考えてみましょう……実は、最初の♪レの音は、主人公の愛する可愛い彼女のことなのです。つぎに、♪ソの音に上がりますね。それは主人公自身です。「さっきの音」は彼女。「生まれた音」は自分。
そして最初の♪レの音に戻ります。「君がいるから僕がいるんだ」という愛の言葉ですね。

 

サビの歌詞

音がいっぱい出てくるサビです。動画30秒のところ。音階を駆け足で上り下りします。

「おしゃべりな人がいっぱいいるけれど、何も話して無いのと同じ。僕は、知ってる音階を全て歌ったけれど、意味なかったよ」

君から離れて、色んな音階の音を歌った! つまり、いろんな女性と浮気をしたんだ。だけど、意味が無かった! 反省しています(笑)。

戻ったAメロディーの歌詞

またワンノートに戻ります。動画45秒のところ。元の♪レの音に戻るということは、彼女のもとに戻って、復縁するということですね。

「だから僕は、君の元に戻らなくちゃ行けないのと同じように、最初の1音に戻ってきたよ。君への愛を全て、このワンノートに注ぎ込むよ!」

以下は、省略させていただきますが、なかなか味のある内容ですよね! 音符が人を表すという歌詞のアイデアに、素晴らしいメロディーが加わって、世界の名曲になったのでした。

音楽的なテクニックで語られがちなワンノート・サンバの歌詞が、実は自分の恋だったり、人生だったりするという深さ! これを知って歌うのと、そうじゃないのとではまるで違いますよね。

また、歌詞を書く場合も、たとえば「ワンノートに人生を重ねる」よいったような深いアイデアが閃くかどうかで、作品としての結果が全然変わってきますよね。

 

メロディーと言葉の響き

ジョアン・ジルベルトというブラジルのギタリスト&ボーカリストがいます。人呼んでボサノバの神とかボサノバの法王! 上記、アントニオ・カルロス・ジョビンと一緒にボサノバを造り上げた天才です。

彼は、「ボサノバは(ブラジルの)母国語であるポルトガル語で歌わねばならない!」と頑なに英語で歌うのを拒んでいました。なぜなら、彼の考案したボサノバ・ギターのリズムは、ポルトガル語の響きを活かすためのリズムだったからです。

しかし、相棒のジョビンは、ボサノバを世界に広めるために、積極的に英語化に取り組みました。だから、アメリカの帝王フランク・シナトラともコラボレーションをしたのです。

1958年に誕生したボサノバは、今や世界の音楽です! 世界中の言葉で歌われています。でも、母国語の響きに拘(こだわ)るという想いは、ある意味、作詞の皆さんの想いとも共通するのではないでしょうか? 作詞家は、意味を考えて言葉を選ぶと同時に、言葉の響き(発音)を常に考えていますものね! そう、作詞家は、選ぶ言葉のチョイスで、サウンドを創り上げることができるのです。

ではここで、ジョアン・ジルベルトのワンノートサンバをお聴きください。

ジョアン・ジルベルト – ワンノートサンバ

いかがですか? なんか、味がありますね。確かに、ジョアンの歌う言葉の響きが、とても軽やかなボサノバのリズムと上手く調和しています。

ワンノートサンバのコード進行やメロディーに興味がある方は、跳躍・順次・同音を組み合わせて美しいメロディーを作るをご覧ください。

 

まとめ

ワンノートという言葉から、恋や人生をひらめく…。

そんな豊かな発想力を身に付けたいですね!

作詞作曲を学びませんか?ウームソング・ドット・クラブの会員サービスはこちら

スポンサーリンク


野口 義修

投稿者プロフィール

音楽プロデューサー。
ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。
あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

メンバーシップ

運営者情報

yoshinobu_noguchi_300_300

野口 義修

音楽プロデューサー。

ベストセラーの『作曲本』(シンコー刊)や『楽しく学べる作詞作曲』(ナツメ社)の著者。

あみんの「待つわ」、雅夢の「愛はかげろう」、アラジンの「完全無欠のロックンローラー」、 伊藤敏博の「さよなら模様」......など多くの才能やヒット曲を世に送り出す。

ヤマハ音楽院、昭和音大で作曲などの講師を歴任。

詳細プロフィール

feedly

follow us in feedly
ページ上部へ戻る